更年期に効く漢方薬、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
更年期障害は、女性ホルモンの減少が直接の原因。一人ひとりの性格・体質・環境が異なるため
不調のあらわれかたに個人差があります。身体・精神の不調が天候によって強くあらわれることもあり日によって波があります。不快な状態を病院に行くほどではないと我慢する人も少なくありません。日本では、アメリカと比べて性差医療が遅れているため病気ではないのに怠けてるサボってると周囲の理解を得られないことも多いようです。漢方薬は、病名がつかないザワザワ感や焦燥感など言葉にあらわせない不快な症状に有効なので取り入れることで症状が改善することもあります。
漢方薬は、病名がつかない女性の不快症状に効きやすい
更年期障害の症状で最も有効なのは、ホルモン補充療法です。海外より治療者数は少ないものの日本でも閉経前後に減少する女性ホルモンを補填する方法が一般的になってきました。のぼせ・ほてりが酷い人には、HRTが有効とされています。HRTには、内服薬・貼り薬・塗り薬・膣座薬があり治療方法にも選択肢があります。しかし子宮体がんや乳がん・静脈血栓症などの副作用がないわけではないため医師と相談しながらリスクとベネフィット(有効な部分)を理解した上で治療をすすめなければいけません。
漢方薬は、病名がつかない女性の不快な症状に効きやすく当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、加味逍遥散や温経湯女神散などともに処方されやすい薬です。生薬なので苦くて飲みにくいのがデメリットですが体質に合えば自分でも効果も実感しやすいものです。飲みにくくてどうしても苦手という方は生薬成分が配合されたサプリメントも有効です。サプリや漢方薬と食事や運動などのアプローチを組み合わせるといいかもしれません。
どこで買う?値段の違いや効き目
漢方薬は、ドラッグストアやネット通販などで入手可能です。しかし漢方医のいる漢方薬局で買う、漢方外来のある病院で処方してもらう、婦人科で漢方薬を取り入れている病院で処方してもらうという4つの入手方法がある中で値段や効き目の違いに差があります。製造メーカーもクラシエやツムラなどいろいろありどこで買うのが良いのか?デメリットメリットを説明いたします。
購入方法 | 価格 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
漢方薬を扱う総合病院の婦人科外来で処方してもらう | 保険適用、安い | 保険適用で安い | 診察までの待ち時間が長い |
漢方外来のある病院で処方してもらう | 保険適用、普通 | 安心 | 漢方外来が遠方である |
ネット通販やドラッグストアで購入する | 市販薬なので安い | 市販薬なので定格 |
自己判断での購入になる |
漢方薬局で処方してもらう | 漢方や生薬、原価の高騰で値段が高い | 患者本人に合う漢方薬を調合してもらうため安心、効果が期待できる | 薬価が高い。漢方薬局が遠方。 |
漢方薬局で相談するか漢方外来がある病院で処方してもらうと本人に合わせた漢方薬を調合してもらえる可能性が高いです。しかし遠方ということなら治療に漢方薬を取り入れている病院などで処方してもらいます。更年期障害の症状で処方されやすいのは、当帰芍薬散、加味逍遥散、抑肝散加陳皮半夏、女神散などです。
漢方外来や漢方薬局では、顔色、皮膚の状態、舌の状態をみて舌が薄い赤色か濃い赤色か紫がかっていないか?(薄い赤色や白っぽい人はむくみやすく貧血状態。濃い場合は熱が上がった状態、紫がかっている人はお血)また患者本来の体質、寒がり・暑がりか、むくみの有無や病気をはね返す体力があるかどうか?などを見ながら患者に合わせた薬が処方されます。しかし漢方外来や漢方薬局が近くにない場合、サプリメントで様子を見ながら体質改善をはかりましょう。
医心方にも記された「婦人の病は男子に比べて十倍治し難し」の意味
日本最古の医学書(医心方=いしんぼう)は、984年当時の円融天皇に奉進されたもので全30巻からなりたっています。老子・荘子・孔子などの思想家や古い中国の医学書やインドの性典カーマ・スートラからも引用されており漢方医学や東洋医学を知る上でも興味深い内容となっています。1000年近く翻訳されなかったのは、本文がすべて漢文で書かれているため難読であること、中国古来の房中術(ぼうちゅうじゅつ)を引用された「巻二十八 房内篇」があるため禁闕(きんけつ)として門外不出の秘本であったこと、また同じ理由で安政年間に入ってからも風紀を乱す書として発禁だったことがあげられてます。
現在84歳の槇佐知子(まきさちこ)さんが40年近くかけて翻訳しており天皇家にとって子孫を残すことは大事な役割と考えられる房中術として房内篇(性交に関すること)では、体位や方法を不老長生のための
年齢に応じた射精回数や性行為は体を清めてから行うことや、月経が終わり3日後に性交を交わすこと、鶏の鳴く夜明けまで性交を行う。性行為は快楽だけをむさぼると病気にかかりやすい、体位を解説しながら性交は不老不死や長寿につながる、百病を治すといった養生方として記されているのが興味深いところ。
話は、脱線しましたが・・巻二十一 婦人諸病篇(1冊で2万円近くします)に、「婦人の病は男子に比べて十倍治し難し」と記されており男性に比べて女性の病気は治りにくく難しいと認識されていました。
更年期世代の不快な症状は、サプリメント・漢方薬・治療薬・ホルモン療法などさまざまなアプローチで症状を緩和していくことができます。あなたの症状が少しでも改善いたしますように!!
画像元:性愛論書カーマ・スートラ
画像元:医心方
当帰芍薬散の芍薬(しゃくやく)と当帰(とうき)
金匱要略(きんきようりゃく)=金匱玉函要略方論(きんきぎょくかんようりゃくほうろん)によると当帰芍薬散は、「血」のめぐりをよくする薬で女性に処方される婦人科系三大漢方薬の1つです。
月経異常、月経困難症、月経不順、貧血、倦怠感、更年期障害、動悸、慢性腎炎、肩こり、頭重、倦怠感、めまい、むくみ、足腰の冷えなど幅広く処方されます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)の当帰が血行をよくしてカラダを温めて芍薬が痛みを緩和します。
当帰芍薬散の当帰(とうき)セリ科シシウド属の当帰(とうき)の根を乾燥させたものです。血が不足した「血虚」の異常がみられるとき処方されます。
- 集中力が低下している
- 眼精疲労
- めまい
- 顔色が悪い
- 髪の毛が抜けやすい
- ツメの異常
- こむらがえり
- 腹直筋の緊張
- 貧血
- 月経障害(生理不順、生理痛)
当帰芍薬散の芍薬(しゃくやく)は、血のめぐりをよくする働きがあります。
血の巡りが悪い人は、「気」や「水」の異常がみられることが多いようです。
- てのひらが赤い
- 内出血しやすい
- 痔になりやすい
- 不眠
- 唇の色が悪い
- 舌の色が悪い
- 歯肉の色が悪い
- 顔色が悪い
30代40代の不調の理由はプレ更年期かも?
若い頃から生理不順の30代(後半)です。最近寝ても寝ても疲れが取れないと感じることが増えました。疲れてるから熟睡したいのに眠りも浅くて日中は、何をやっても疲れやすくて、カラダがだるくて頭が重いです。仕事も家事もやる気が起きません。人と話しているとき首の後ろがドカドカするのも気になっています。生理前とか排卵期だけというかんじではなく不快な症状が長引いています。
もしかしたらプレ更年期かもしれません。一度婦人科で女性ホルモン(エストロゲン)の数値を調べてもらうといいかもしれません。更年期は、女性ホルモンの数値が下がりカラダの弱い部分に症状が出やすいといわれています。自律神経系が弱いとホットフラッシュや発汗(首汗・顔汗)はよくみられ、精神的な症状が強くあらわれる方もいます。どんよりした波が長く続き若い年齢で発症したから早く終わるだけではありません。いつ終わるか終わりが見えないだけに心身ともにしんどい状況だと思います。天候によって(雨が降る前や寒い日)に症状がつよく出ることもあります。プレ更年期の頃に心療内科に行くと不安症や鬱の診断、内科に行くと自律神経失調と最初にどこに診察に行くかで検査も変わってきます。30代でも40代でも最初は、婦人科に行かれる診察をしてもらうと良いと思います。あなたのように40歳前野女性でもストレスで女性ホルモンの乱れで若い人が若年性更年期(更年期)の症状があらわれるのは珍しく無いんですよ。
ストレス社会で女性ホルモンに乱れが生じやすい
物覚えが悪くなリ物忘れもひどくなっています。吐き気がしてムカムカすることも増えました。雨が降る前や寒くなる前になると背中や頭がダル重いと感じます。若年性更年期の診断基準や治療はどのようにすすめられますか
婦人科で診察をしてもらい女性ホルモンの数値が低くプレ更年期と診断されても治療方法は、主治医と相談しながらになります。女性ホルモン補充療法で皮膚に貼るタイプの貼り薬から始める人もいるし漢方薬を処方しながら日常生活の改善をはかっていく人もいます。当帰芍薬散は、血のめぐりを整えるといわれており首の後ろがカッカとするようなホットフラッシュが気になる方に処方されます。カラダの状態に合わせ体型や体力から当帰芍薬散ではなく加味逍遙散 、加味帰脾湯 、加味逍遥散、桂枝茯苓丸などを処方されることもあります。規則正しい生活にする。ゆっくり眠る。くよくよしない。無理をしない。カラダをいたわる。愚痴を話せる友達を作る。症状をオープンにする・・など対処法をみつけていってくださいね。
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